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ベトナム、露に“再接近” 中国警戒、潜水艦調達へ

2009/06/14 14:57:43
6月10日22時15分配信 産経新聞

 ベトナムにとってソ連は激動の現代史を通じて常に最大の後ろ盾だった。そのソ連の崩壊に伴って強固な絆(きずな)は断たれ、後身のロシアの存在感は見る影もない。しかし最近、そのロシアに復活の兆しが見え始めた。背景にあるのは伸びる中国の影である。

 今年はベトナムの国父、ホー・チ・ミンが死去して40周年になる。それを記念して5月末にモスクワである式典が開かれた。ホー・チ・ミンの遺体保存に協力したソ連(当時)の科学者らにベトナム大使館が勲章を授与したのだ。

 ホー・チ・ミンは遺書の中で死後は火葬するよう求めたが、共産党指導部はソ連の技術を使って遺体を永久保存する道を選んだ。ロシアの専門家による助言は現在まで続き、遺体は今もハノイの廟に眠っている。

 ベトナムで報じられるロシアといえば、最近はこうした過去の蜜月時代の残映ばかりだ。現在も続く重要な協力事業といえば、ベトナムで原油生産を最初に手がけ、今も主役であり続ける露越合弁企業のベトソブペトロぐらいだろうか。

 かつてベトナムにおけるソ連の存在感は圧倒的だった。抗米戦争終結後、カンボジア問題をめぐって中国との対立が深まると、ベトナムのソ連傾斜は決定的となる。1978年には事実上の軍事条約であるソ越友好協力条約を締結、翌年にはベトナム中部カムラン湾の基地をソ連軍に使用させる協定を結んだ。

 しかし、ソ連の解体と社会主義体制の崩壊は両国関係を一変させる。ロシアの対越援助は干上がり、カムラン湾の基地からも協定期間を2年残して2002年に撤退した。ソ連の抜けた穴を埋めたのは西側諸国との関係急拡大であり、中国との関係修復である。

 ロシアのウエブ紙プラウダは先月、抗仏戦争の「ディエンビエンフーの戦い」勝利55周年に合わせて対越関係を論じた記事を掲載した。フランスからの独立を決定付けたこの戦勝にソ連の軍事支援がいかに貢献したかを詳述したうえで、その関係は今や色あせたとこの記事は記す。「(ロシアとグルジアが戦火を交えた)昨年の南オセチア紛争でベトナムは冷たい中立を維持した」。

 そして、この評論はこんな一文で終わっている。「ベトナムには、ロシアの支援という感傷的な思い出を外交政策の基礎にしようという気はないのだ」。自らの力の衰えを嘆くとともに、ベトナムの「忘恩」をなじるような調子である。

 しかし、そんな両国に再接近をうかがわせる動きが出てきた。ロシアの経済紙コメルサントが4月末、「ベトナム向けにロシアがキロ級潜水艦6隻を建造する商談が進行中で、武器輸出公社ロソボロネクスポルトが近く輸出契約を結ぶ」と報じたのだ。総額18億ドルに及ぶ大型商談である。

 ベトナムはミグの後継機として90年代からスホーイ戦闘機をロシアから導入しているが、この潜水艦調達報道に続いて5月にはロシア紙が「12機のスホーイ30MK2の対越輸出契約がまとまった」と報じた。潜水艦商談と合わせると、これでベトナムは中国、インド、アルジェリア、ベネズエラとともにロシアの5大武器調達国の一つになると同紙は伝えている。

 中越関係は好転したとはいえ、南シナ海の南沙、西沙両諸島の領有をめぐって両国は今なお非難合戦を続けている。空母の国産化に着手するなど中国は海軍力の増強に拍車を掛けており、ベトナムに隣接する海南島には大規模な原潜基地ができたともいわれる。

 ベトナムの軍備増強、とくに潜水艦の大量調達が中国をにらんだものであることは間違いない。ベトナムとロシアは昨年から外務次官級の戦略対話を開始、初会合が11月にハノイで開かれた。これも中国を意識した動きと受け取れる。

 遠くのソ連と結んで近くの中国に対抗するというかつてのベトナム外交は「遠交近攻」そのものだった。中国との緊張は和らいだとはいえ、ベトナムにとってロシアとの「遠交」の効用は失われていない。(在バンコク・ジャーナリスト 鈴木真)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090610-00000632-san-int
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